2023 PRIX CULINAIRE <LE TAITTINGER> 56

第56回<ル・テタンジェ賞>
国際シグネチャーキュイジーヌコンクール 日本大会
優勝者ルセット

LE TAITTINGER
56ème PRIX INTERNATIONAL DE CUISINE D'AUTEUR
SELECTION DU JAPON

優勝者  但馬 彰典(ホテルニューオータニ東京 トゥールダルジャン 東京)

テーマ 

INTERPRÉTATION D’UN MORCEAU
D’UN LIEU JAUNE ET DE DEUX HOMARDS
POUR 8 PERSONNES
8 assiettes avec un budget maximum de 50€
(400€ au total)

アイナメ と オマール海老 2 尾(温製料理)
8名分

※LIEU JAUNE JAUNE(リュ・ジョーヌ)は「スケソウダラ」ですが、フランスのLIEU JAUNE と日本のスケソウダラでは、味・食感・質感等全てにおいて異なるため、日本大会ではフランスのLIEU JAUNE に近い「アイナメ」で書類審査を行いました。

ルセットを創作した経緯 

このコンクールを通して自分にしかできない料理を表現したい、という思いが強くあります。

「リュ・ジョーヌとオマール海老」の有名な産地のブルターニュ地方に想いを馳せ、私の生まれ故郷である大分県を重ねながら一皿を作り上げることが私にとって特別なことだと思いました。

フランス料理のエスプリを通して、日本らしさも感じられる。そして、フランス本選で勝てる料理にする。という思いからこのルセットを創作し、材料を選びました。

 メインのアイナメとオマール海老には近年注目されている大分・安心院ワインをマリナードやソースとして使用しました。オマール海老のファルスには豚足やチョリソーを合わせ、味に深みを出し、周りを薄いパートで包んで食感にアクセントをつけました。クラシックなパイ包みをアイナメとオマール海老が最大限引き立つように工夫し、再構築しました。

ガルニチュールにはポムドフィノワーズやアンドゥイユなど古典的なフランス料理や、牡蠣やそば粉といったブルターニュ地方の食材に,柚子胡椒やシイタケなど大分を代表する味を組み合わせ、一つの皿の上に仕上げました。

 フランス料理の大きな要素である「テロワール」を私なりに解釈し、表現しました。

味や見た目の美しさはもちろん2つの「テロワール」が融合したこの料理を通して、私の料理人としてのストーリーが伝わればと思います。

【アイナメとオマール海老のルーレ】 

① アイナメを3枚に卸し、皮を引く。フィレを背側と腹側で切り分け、成形する。パリューは取っておく。マリナードの材料を合わせ一度沸かし、アイナメの切り身を15分間マリネし、取り出しておく。ほうれん草の葉をバプールで2分火入れする。ベーコンをごく薄くスライスしておく。
② オマール海老のパンス、クーを3%の塩水で1分間茹でて氷水で冷やす。殻から取り外す。パンス、アイナメのパリュー、卵白、生クリーム、塩5gをロボクープ・ミキサーで回してケネルにする。
③ ニンニク、エシャロットをアッシェにし、無塩バターでスエする。豚足、チョリソー、ほうれん草をアッシェにする。パンドミをブルノワにし、サラマンダーで乾燥させる。
④ オマール海老のケネルに③の材料とマスタード、レモン汁、レモン皮のラぺを混ぜ合わせ、ファルスを作る。
⑤ オマール海老のクーを芯にして④のファルス、ほうれん草の順で巻き、85℃のバプールで5分間火入れする
⑥ ⑤を芯にして①のアイナメ、ほうれん草、④のファルス、ベーコンスライスの順で巻き、56℃のバプールで15分間火入れする。2㎝の厚さに切り分ける。
⑦ バートブリックを2cm幅にリュバン状に切り揃え、セルクルに巻き170℃のオーブンで4分間火入れする。焼きあがったパートブリックに⑥のルーレをはめる。

【ソース】

① オマール海老の頭、アイナメのガラを細かく叩き、ココットで水分を飛ばしながらコロレする。エシャロットをエマンセにし、加えソテーする。安心院ワイン赤0.5Lとルビーポルトでミロワールを作っておく。
② 安心院ワイン赤を1L加え、ハーブ、スパイスと一緒にエキュメしながら煮詰めていく。豚足、牛モツの煮汁、フォンドヴォーを加え、さらに煮詰める。
③ 一度パッセしエキュメしながら適度な濃度まで煮詰め、ミロワール、塩で味を整える。

【牡蠣のフラン】

① 玉ねぎをエマンセ、セロリラブを5mm厚にスライスする。ほうれん草を塩茹でしておく。
② 玉ねぎを無塩バターでスエし、牡蠣とセロリラブを加え、イリープラットでデグラッセして火入れする。牡蠣1/3とセロリラブを取り出しておく。セロリラブを丸型で抜く。
③ ミキサーで②とほうれん草、粉末海洋プランクトンを一緒に回し、パッセする。生クリーム、全卵、卵黄と合わせ、型に流して85℃で15分間バプールにかける。型から外し、半分に切る。
④ 干しシイタケ、羅臼昆布、水を真空にしてバプールで10分間加熱する。干しシイタケをアッシェする。エシャロット、シャンピニオン、シイタケ、黒トリュフを全て細かいアッシェにする。
⑤ 無塩バターでエシャロットをスエし、他の材料と干しシイタケの戻し汁を加えデュクセルを作り、丸型で抜く。
⑥ パートブリゼの材料を全て合わせ方で抜き、170℃で7分間焼く。
⑦ フラン、デュクセル、セロリラブを重ね、パートブリゼ、黒トリュフ、エディブルフラワー(白)を飾る。

【サンポーランのルーレ】

① 玉ねぎ、ベーコン、粒生胡椒、サンポーランをブルノワにする。ほうれん草を塩茹でし、軽く刻む。全卵を15分間バプールして、別々にタミゼする。ビーツを薄くスライスし、無塩バターでブレゼする。
② 玉ねぎ、ベーコンを無塩バターでスエし、ほうれん草を加える。薄力粉、コーンスターチ、牛乳でとろみをつけ、サンポーラン、タミゼした卵黄、卵白、粒生胡椒を混ぜ合わせる。ビーツで巻き4cmに切る。
③ そば粉のチュイールの材料を合わせ、型に伸ばして171℃で6分間火入れする。銀箔、花穂紫蘇を飾る。

【ポムドフィノワーズとアンドゥイユのミルフィーユ】

① 牛モツと豚足を一度下茹でし、新しい水でミルポアと共に圧力鍋で火入れする。煮汁は取っておく。
② 牛モツを掃除して細かく刻む。オリーブオイルでアッシェした玉ねぎをスエし、牛モツ、煮汁、安心院ワイン、赤ワインビネガー、コニャックを加え煮詰める。アッシェにしたハーブと柚子胡椒、塩、白胡椒で味を整える。
③ ジャガイモの皮を剥き、ごく薄くスライスする。玉ねぎ、ベーコンをアッシェにする。
④ 玉ねぎ、ベーコンを無塩バターでスエし、ジャガイモを加えソテーする。塩、黒胡椒で味付けし、シードル酒、生クリームを加え、軽く煮込む。型に敷き、プレスしながら160℃で20分間火入れする。
⑤ ポムドフィノワーズとアンドゥイユを交互に重ねよくプレスし、切り分ける。無量塔のマスタードを詰めたパールオニオン、ピーテンドリル、マイクロアマランサスを上に飾る。

※このルセットは日本大会のために作成したものです。本選では本選仕様に変更しています。

第56回 <ル・テタンジェ賞>国際シグネチャーキュイジーヌコンクール日本大会