Chemin du Gastronome
Le passage
パッサージュのぶらぶら歩き

昔の料理コンクールの筆記問題<模範解答>


堀田シェフへのインタビューに関連して、当時のコンクールの予選筆記試験問題を掲載した前回。

今回はその模範解答を掲載いたします。

当時、問題と回答が雑誌に掲載されました。

1,料理人の身につける白い上着は清潔さと衛生的という象徴である。
     はい     いいえ    (いづれかに〇)

A, はい

2,良い料理人は、肉の部位を見分けられなければならない。シャートーブリアンについて知っていることを述べよ。

A, これはフィレ・ド・ブフの中ごろの部分の肉を、2人分以上5人前分をひとかたまりにして、切り分け、軽く叩いて、幾分平たくして、両面ともに塩、胡椒を比較的十分にふりかけ、グリエまたはソテーに調理するもので、最低でも400g前後である。両面ともに褐色に焼き上げたものを切り分けてサービスする。ポテトを添え、コルベールソース、ベアルネーズソース等を添える。なお、フィレ・ド・ブフの各部位の名称は①Tête(頭)、②シャトーブリアン、③クール・ド・フィレ、④トゥルネド、⑤フィレミニヨン

3,次に述べるソースの正しい作り方を線で結べ。

ⓐ: ソース・マデール(Sauce Madère)

ⓑ: ソース・シュプレーム(Sauce Suprême)

©: ソース・モルネー(Sauce Mornay)

ⓓ: ソース・ショーロン(Sauce Choron)

イ: 家禽のヴルーテにたっぷり生クリームを加えたもの
ロ: ソース・ベシャメルにおろしたグリュイエールチーズとバターを加えたもの
ハ: ソースベアルネーズにトマトを加えたもの
ニ: ドゥミグラス又はエスパニョールにマデラ酒を加えたもの

A, ⓐとニ、ⓑとイ、©とロ、ⓓとハ

4,ジャガイモのピューレを仕上げるには、熱い牛乳とバターを加えるがその順番は?
バターがさき   牛乳がさき  (いずれかに〇)

A, バターがさき

5,ソース・ペリグー(Sauce Periguex)とソース・ペリグールディーヌ(Sauce Perigourdine)の違いを述べよ。

A, ソースペリグーは3/4 ℓのこくのある濃い目のソースドゥミグラスを少し煮詰め、11/2㎗のエッセンス・ド・トリュフを加えた後、100gのトリュフ・アッシェを加えて仕上げる。ソース・ペリグールディーヌは同様に作るがトリュフ・アッシェの代わりにトリュフをオリーブ型か、小さなボール型か、厚めにスライスします。

6,ソース・ベシャメル(Sauce Bechamel)の作り方を述べよ。

A, ルウ・ブラン650g、牛乳(煮立てたもの)5ℓ、仔牛(白くて脂肪のないもの)300g、オニオン(小さめ)2ヶ、塩25g、タイム1本、粗挽き胡椒、ナツメグ少々。ルウ・ブランに熱い牛乳を加え、スパチュラでよくかきまわしながらのばし、これにエテュべした仔牛、オニオンスライス等、すべての材料を加え、1時間程弱火で静かに煮立てた後、布で裏ごしして仕上げ、ソースの表面に皮膜が張らないようにしてキープする。

7,ソース・オランデーズ(Sauce Hollandaise)の作り方を述べよ。

A, スプーン4杯の水にスプーン2杯の酢、塩、胡椒を加え、2/3煮詰めたものを湯煎にし、スプーン1杯の水と卵黄5ヶを加え、ブールフォンデュを加えながら撹拌し、ソースを仕上げ濃度により少量の水を加えて調整し、レモン汁を加えて味を調え、布でこして仕上げる。

8,ソース・ベアルネーズ(Sauce Béarmaise)の作り方を述べよ。

A, ヴァン・ブラン2㎗、ヴィネグル・ド・エストラゴン2㎗、エシャロットアッシェ・スプーン4杯、エストラゴンコンカッセ20g、セルフィユ10g、ミニョネット(粗挽き胡椒)5g、上記の材料を鍋に仕込み2/3まで煮詰め、鍋を火からおろして、数分冷やし、6ヶの卵黄を加えて、よく泡立て、微温で500gのブールフォンデュか、クラリフィエにて、泡立てながらソースをかき上げる。これを布で裏漉しして、カイエンヌ、エストラゴン、セルフィユを加えて味を調える。

9,クール・ブイヨン(Court Bouillon)の作り方を述べよ。

A, 水5ℓ、酢2と1/2㎗、塩60g、人参600g、オニオン500g、パセリ、タイム、ローリエ、粒胡椒。人参、オニオンをスライスして鍋に入れ、水、酢、塩、胡椒、パセリ、タイム等の材料を全て鍋に仕込み、1時間ほど弱火でアクを取りながら、静かに煮込んだ後、スイノウで濾して仕上げる(ソーモン、トリュイト等に使用)。その他、用途によりクールブイヨン、オーヴァンブラン、ヴァンルージュや平目等に使用するオー・レイ(牛乳と水がベース)等がある。

10,“フォン・ブラン”(Fond Blanc)とはなにか述べよ。

A, 仔牛のスネ屑肉10㎏、鶏ガラ4羽分、人参800g、オニオン400g、ポワロー300g、セロリ100g、ブーケガルニ(タイム、ローリエ、セロリ、丁子)、水2ℓ。骨は小さく切り、仔牛肉は糸で結び水にさらした(dégorger)後、骨仔牛肉と同じ高さまで水を入れ、火にかけ沸騰させた後、アク脂をとり去り、香味野菜・ブーケを加え、軽く下味を付けた後、浮きアク脂を取りながら、弱火にして3~5時間静かに煮込み、布で濾して仕上げる。

11,ポム・ドーフィヌ(Pommes Dauphines)の作り方を述べよ。

A, ポンムピューレを仕度して、ピューレの1/3から最高1/2量のパート・ア・シュ―を、こしを出さぬ様に注意しながら、切るようによく混ぜ、これを好みの形にして、オイルで揚げて供卓する。

12,トリュイト・オ・ブル(Tyuite au Bleu)について述べよ。

A, 生きているトリュイトの頭をたたいて、〆た後、ウロコをはぎ落とさない様にエラ、わた、血合いを抜き、きれいに水洗いをしてよく水気を切り、軽くヴィネグルをアロゼした後、クールブイヨンでポシェして、煮上がったらよく水分をとり、客の好みで骨をとり供卓する。ボイルドポテト、パセリ、レモン等を添え、一般にはソース・オランデーズ、ブールフォンデュ等、アパールする。※死んだトリュイットを使用する場合は、鮮度の良いものを使用するように注意する。

13,パータ・シュ―(Pâte à Choux)の作り方を述べよ。

A, 水1ℓ、バター200g、塩10g、粉625g、卵12~14ヶ。鍋に水、バター、塩を加えて沸騰させ、鍋を火から下して、ふるった粉を加え、再び火にかけてパートを乾燥させる(鍋にパートがつかなくなり、パートの表面に少しバターが出るような感じになるまで)。鍋を火から下し、卵を少しずつ合わせて、こしを出さないように、なめらかな艶のあるように仕上げる。

14,ソース・アングレーズ(Sauce Anglaise)について述べよ。

A, 砂糖500g、卵黄16ヶ、牛乳1ℓ、グース・ド・バニーユ。ボールに砂糖、卵黄を入れ泡立ててよく混ぜる。牛乳にグース・ド・バニーユを加えて、十分に香りをつけて沸かし、これをボールの中に少しずつ合わせていき、全部混ぜ終わったら、1度裏漉しして再び火にかけ、とろみがつくまで火を通す(煮すぎてわかれないように注意)。火から下してスパチュラでかきまわしながら静かに冷やして仕上げる。

15,ジェノワーズ(Gênoise)について述べよ。

A, 砂糖500g、卵16ヶ、粉375g、ブールフォンデュ200g、香料(バニラ、リキュールその他)。砂糖、卵をボールに入れ、微温の湯煎で卵の臭みをとばし、人膚ぐらいになるまでゆっくりと泡立てる。これを攪拌機にかけ、ムース状に完全にたてた後、めをつぶさないように注意しながら、ふるった粉を混ぜ合わせ、ブールフォンデュを最後に加えて仕上げ、天板で用途に応じて焼き上げる。

16,フランスにおけるクリスマス用の伝統的なケーキの名前をあげよ。

A, ビュシュ・ド・ノエル(Bûche de Noël)

17,フランスのチーズの主要なものを6つあげよ。

A, Camenbert、Emmental、Brie、Epoisse、Roquefort、Reblochon、Crottin de chavignole、Munster、Banon de provence、Tomme de savoie、Pont-l’Evêgue、Cantalなど

18,ロックフォールは次の動物のうちどの乳でつくられるか?
    牛   山羊   羊  (いづれかに〇)

A, 羊

19,ペリゴールの有名なトリュフは、次に述べる木のいづれに共生するか?
    柏の木  ぶなの木  杉の木  (いづれかに〇)

A, 柏の木

20,トリュフの収穫は1年のうちどの時期のおこなわれるか?
    6月~9月の間  12月~2月の間  (いづれかに〇)

A, 12月~2月の間

21,フレッシュのフォアグラは1羽分につき約何グラムか?

A, 750g~800g。大きいものは1㎏を超えるものもあるがだいたい中位のもので1㎏前後。

22,料理人のかぶる白帽子の発明者は?(いづれかに〇)
   オーギュスト・エスコフィエ   アントナン・カレーム   ユルバン・デュボア

A, アントナン・カレーム

23,フランスは素晴らしいぶどう栽培地に恵まれており、各料理はワインとの組み合わせにより、一層味がひきたち、美食を語るにはワインの存在は不可欠のものである。さて、フランス国内における主要なワイン生産地を、4つあげよ。

A, Bourgogne, Bordelais, Champagne, Alsace, Côtes du Rhône, Beaujolais, Languedoc-Raussillon, Val de Loire など


模範解答を当時のまま掲載いたしました。

皆様、正解いたしましたか?
今から41年前の1980年頃は、のちにスターシェフといわれる方々が修業先のフランスから帰国し、フレンチレストランをオープンし始めた時代。日本の経済が上昇気流に乗っているのと同時に、日本のフランス料理界も花が咲き始めていました。

この問題はフランス料理の基礎の基礎。皆様のレシピと当時のレシピを比べてみたら、新しい発見があるかもしれませんね。

ARTICLES ASSOCIÉS

  • 第1回~第3回現代フランス料理技術特別講習会        par M.Jean Delaveyne
  • Mi-Cuit de Thon aux Herbes, Ananas et Moelleux de Parmesan
  • Sardines Farcies au Fromage de Chèvre, Petite Salade aux Herbes
  • Roulé de Jambon de Bayonne au crémeux de fromage de Brebis,Confiture de Piment d’Espelette

DERNIERS ARTICLES

  • 第1回~第3回現代フランス料理技術特別講習会        par M.Jean Delaveyne
  • Mi-Cuit de Thon aux Herbes, Ananas et Moelleux de Parmesan
  • Sardines Farcies au Fromage de Chèvre, Petite Salade aux Herbes
  • 【第6回】 鎌田 英基 シェフ